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2007/05/11

低金利のリスク

Fukui


日銀総裁の講演から

先行経済指数の4月のレポートは2年間の見通しで潜在経済指数は息の長い成長拡大路線にあるとの内容であった。
この前提となるものは、世界経済と密接な関係にかかわっており、地域的に経済の拡大は続いている。  米国は多少の鈍化の可能性が高いが、EUでは景気回復はしっかりしており、中国でも力強い景気拡大が続いている。
また、アセアン地域でも景気の拡大が続いており、世界全体を通してみれば景気は拡大方向にあるといえる。
良好な世界経済の中で日本の輸出は健全であるが、一方米国の輸出は凋落傾向にある。 日本企業の中には設備投資が鈍化しているものもあり、先年から半導体関係の設備投資も減る傾向にある。 家庭消費量も賃金の伸び悩み傾向にあるが、雇用は拡大しており、株式配当金も増加傾向にあるので、個人消費量は増える可能性があり、家庭部門は緩慢ではあるが全体としては拡大方向にある。  ただ、3ヶ月前と比較すると横ばい状態にあり、足元の経済は一服傾向が見られるが、先行経済の展望は開けて行っている。
世界経済の特徴は、グローバル化の中の景気拡張にあり、競争力を回復した日本は裾を広げながら輸出を拡大し、企業部門の設備投資を続け、家庭部門にも波及させている。  企業利益の還元の仕方が弱いのは企業の賃上げに慎重な姿勢が見られるからで、労働者側からも過去の例から賃上げよりも企業の雇用安定を目指しているためと思われる。
先行きについて、2008年までを展望しても潜在成長率を上回る2%程度の成長を続ける可能性が高いと思われる。
グローバル化は今後も続くと見られるし、企業部門の輸出は更に増加していくものと思われる。  2007年度の設備投資はしっかりしていたが、人手不足も続き賃金も上昇し、初任給も上がる傾向にある。  企業はある程度の賃上げは認める方向にあるし、古い人材も確保して置きたいとする企業も多いので、雇用関係は改善され賃金も上昇すると同時に団塊世代の退職金等の資産運用の効果も加わるので共に家庭部門に波及していくものと思われる。
このような物価をとり巻く経済環境は変化し、潜在成長率は高まり、人件費の上昇の可能性は高まり、物価は緩やかな上昇を続けることに変化はないと思われる。  金利政策派効果に時間がかかるので、長い目で判断をすべきでそのリスクを怠るべきではないと考える。
輸出の見通しなどは海外の経済動向によりその予測通りにならない場合もある。  世界経済は米国を除き拡大方向にあり、米国では住宅市場が弱いと下振れするリスクが存在する。  中国では北京オリンピックを控え高成長が続くと思われる。  IT関連事業では在庫調整が続いているが、供給も早いので世界的には拡大が続くと思われる。  
実質金利が低いと企業部門は設備投資をし易く愛知、関西方面では2桁成長の企業もでて来ている。  為替動向も資産評価を合わせてヒズミが生じる可能性がある。 潜在化した場合の対応として物価の反応が少ない場合もあるが、企業部門から家庭部門へと想定外の影響が生じる場合もあるし、海外事情や潜在需要により国内経済が影響を受けることがある。  以上の前提を踏まえて
日銀は先の量的緩和に先立ち2つの柱の点検を行った。
1、 物価の安定は様々な状況の下に金利政策を行うが、効果の波及には長い時間がかかるので究極的な物価安定を目指して政策を決めていく。  
2、 経済の持続的な上昇が続き物価はゆっくり拡大して行く可能性が高い。
経済見通しは
以上の2つの前提の下に立てられ必要な政策金利を算定する。
2008年度までの展望を見ても今の経済は潜在成長率を上回る2%程度の成長を続ける可能性が高い。  低金利を長く続けると長期的には経済は足踏み状態となる。  景気の循環周期も短くなってきているので、企業が過大投資や非効率的な投資をするリスクの可能性が多くなるので、物価上昇に合わせた金利運営を今後も維持し、徐々に調整をしてリスクを低く抑えて行きたい。   日銀は基本的な考え方を示して情報を発信しているので、後はそれぞれの企業が自らの先行判断をシュミレーションして決めていくべきで、日銀の判断資料だけで企業が進めていくものではない。

講演の後の質問に対して

1.少子化の進む中で経済成長率は持続できるのかの問いに対して、息の長い波の少ない経済成長は企業の生産性向上や政府の税制によって続けられるであろう。  景気循環の波はなくすることは出来ないが、日銀は波を少なくするお手伝いをしたい。

2.景気を輸出だけでなく内需拡大での可能性はとの質問に対して、景気の拡大で税収は確実に伸びている。  景気の持続的拡大は様々な条件の整合性や長期的な政策によって達成されるべきだ。