「新政権の課題と展望」と題するパネルデスカッションを聞いて
パネラーは塩川正十郎元財務大臣、斉藤邦彦元中米大使、星 浩朝日新聞編集委員、柯 隆富士通総研研究員でテーマは「新政権の課題と展望」と題して新政権の抱える内政、外交面などの諸課題、「衆参ねじれ国会」の下で政界再編を含む今後の政局の行方などについての分析、展望を議論しました。
先ず、最初に司会の共同通信社の田崎部長からの4人のパネラー紹介から始まった。
今日が86歳の誕生日の塩川元財務大臣は衆議院当選11回を重ねた自民党町村派の重鎮で、森、小泉、安倍首相の下ではそれぞれ主要ポストの大臣を務め塩爺の愛称で天下のご意見番としての睨みを利かせてきました。
また、斉藤邦彦元中米大使は外務省に入省後、英国、スイス、マレーシア、フランス、ベルギーにて勤務。条約局長、駐イラン特命全権大使、外務審議官(政治担当)、外務事務次官を歴任後、1995年から1999年まで駐米日本大使を務めました。 外務省退官後は国際協力事業団(JICA)総裁を経て、現在はFEC国際親善協会理事長。
柯 隆富士通総研研究員は1963年生まれの44歳、愛知大学法経学部卒業. 名古屋大学大学院経済学部卒業。 .長銀総合 研究所国際調査部研究員で、経済・産業・経営の分野で、緻密な調査・研究に基いた積極的な政策提言を行なっている。
星浩さんは1955年生まれの52歳、東京大学教養学科卒業、朝日新聞社政治担当編集委員、東京大学大学院特任教授、テレビ番組「サンデープロジェクト」のコメンテーターも歴任。 経済・産業・経営の分野で、緻密な調査・研究に基いた積極的な政策提言を行なっている。
まず、田崎司会の今度首相に就任された福田さんはどんな人かと言う問いに対して塩爺の話から始まった。 優しい感じの持ち主だが、意地っ張りの所もあって気に入らないことを言われると「プッ」と顔に出す面も持ち合わせって居る。 あえて何タイプと付け難い政治家でどちらかと言うと実業家タイプの人で、慎重派で、一旦決めたことは必ずやり遂げる意思の持ち主でもある。 無愛想の感があるが、金にはきれいで派手なことはしないタイプだ。
次に、斉藤さんの福田像は落ち着いたタイプの人で、冷静で、堅実的な人という印象を持っている。 米国との間に亀裂が生じない様な政策を採ってもらうことを望んでいる。安倍さんよりは柔軟な対応をとるものと思っている。
柯さんは福田首相にアメリカや中国だけではなく近隣のアジア全体が期待している。 中国では首相像としては強力的リーダーとしてではなく親しみ易いキャラクターが好かれている。 福田さんはそのような人と思われる。
星さんの福田像は去年の今頃は安倍人気急騰で福田さんの無念さがひしひしと伝わってきていた。 安倍首相辞任で福田さんは生き生きとして来た。 そして、麻生さんに対抗してライバル意識を燃やしていた。 首相選挙での議員197票の半分の批判票は改革勢力が福田さんでは改革継続はムリではないかと言うことと、安倍さんのとった中国アジア外交継続が困難と見た批判票ではなかったと思われるとの各パネラーの福田像が述べられた。
次に、政局の現状に話題を移し、ねじれ国会でのテロ支援給油活動の継続審議の行方を占った。
先ず、外交官出身の斉藤さん意見は新政権による給油活動の新法成立に期待を寄せている。 日本は世界の平和と安全のための強力度が少ないと思っている。テロ防止のための国際協力に力を尽くし、徒に政争の具の材料にすることだけは止めてもらいたい。 さもないと、日本は世界の仲間から外されてしまう。
司会者:小沢党首は国連決議があれば構わないと言っているが。
星:国連は必ずしも万能ではない。 それは今回のヤンマー事件でも感じる。 国連の対応はあれまでで限界を感じる。
司会者:日本の国際貢献に対して中国やアジアはどう見ているのだろうか。
柯:余り注目していない。 寧ろ北朝鮮の方に目を向けている。
星:期限切れで、10月には油送船は帰って来る。 福田さんは通常国会で決めるつもりではないか。
司会者:福田さんがどう判断するのだろうか。
塩川:2001年のアメリカ同時多発テロの首謀者アフガニスタンのタリバン政権へアメリカがおこなった武力行使に日本が音頭をとって3年間で5億ドル支援し、テロ防止に対処しようと言い出したものだ。 やめたら無責任な話になる。
国連決議に基づくものと国会の会期延長を諮ってでも給油活動の延長決議をすべきだ。 1991年の湾岸戦争での1兆8千億円の支出を決めたのは自民党にいた小沢幹事長の時だった筈だ。
星:給油した油のイラク戦争転用事件で自民と民社の言い分がかみ合わない。小澤は参議院選で勝ったから次の解散衆議院選でも勝つとの期待を持っている。
塩川:国会の問題ではない。 民社党も新法で条件を付すのであれば、つけて世界に示すべきだ。
柯:この問題は国際問題ではなく日本の問題になっている。 小泉改革路線は今、格差問題が広がってきて改革とはどういうことだったのか、郵政民営化は本当に必要だったのか私は疑問に思う。 教育改革を優先すべきではなかったのか。 世界の学力テストでも中国は1位で日本は6位だった。 今は良いが、30年後のことを考えるなら教育問題を先に考えるべきであった。 日本で格差問題が出ると、私の所への講演依頼が増え私にとっては大変結構な事なのだが。 小泉さんは毛沢東と似ていて批判されると頭にきて「カッ」となる性格のようだ。 その点、日本には哲学者が足らないような気がする。
塩川:改革に格差はつき物だ。 格差は政策の問題ではなく行政の問題だ。
星:後期高齢者の医療費負担が4月から2割負担になるが、高齢者が必ず弱者とは限らない。 弱者とは貧困者で考え方を変えてきたのではないか。
塩川:民社党は格差が生じたから農家の全面保障をすると言い出した。 格差問題は行政で解決すべき問題だ。
司会者:これからの政局の流れの問題について討論をお願いしたい。
星:混迷期に入った半数われ国会は政党の組み合わせでは解消できない構造で、政界再編成もムリの状態にある。 衆議院選挙で覆すより外はない。 予算法案は通過できても関連法案の通過はムリで、新法提出時に解散か、さし詰まった時期にある。 老人保健自己負担増問題や年金問題も限界に来ている。
司会者:3月末予算法案84兆円の通過はできても関連法案の赤字国債20億円の国会承認が得られなければ、無責任な法案通過になってしまう。 例えば、ガソリン税48円/リットルは4月1日から関連法案の通過がなければ、24円/リットルになってしまうのでその前には買え控えが、4月以降は買いだめが起こったり、証券取引税や配当税が増額になったりする等、国民の生活に混乱が生ずる。
塩川:解散総選挙の結果次第では、政党再編成が起こる可能性もある。 一番よいのは与野党話し合いで条件付通過をさせたらよいのではないか。
柯:クリーンな問題よりは日本の将来像を描いていかないと前進した政治はできないのではないか。
星:前回の選挙では小選挙区に耳を傾ける政策で小泉さんは東京25区のうち23区で勝った。 民社党は管さん1人と言う惨敗だった。 次の選挙では
共産党は候補者を絞ると言うことなので、この票は民社党に流れるのではないかと思われる。
柯:間接税たる消費税の増額を決めないと日本の国際競争力が失われ日本経済は窒息する。 日本の家宝の技術は実は技能だから団塊の退職でうろたえている。 一方、成果主義で能率を高めようとしても新しい人材が集まらなくもなってしまう。
斉藤:小沢政権になっても日米関係が壊れると言うことにはならないと思う。
塩川:選挙は国民も政治に責任を持つと言うことだ。 投票率40%以下で文句だけを言ったのでは無責任の話だ。
斉藤:官僚を悪者扱いだけにしたのでは国家の衰退に繋がってしまう。
柯:ワシントンにはシンクタンクが揃っているが、東京には居ない。
司会者:最後に星さんから今日の締めくくりということで発言を求めた。
星:テレビや新聞で報じられる結果は国民の世論に大きく影響する。 我々マスコミも正確な報道を伝えるメディアとしてしっかりやっていきたい。
以上で終了しましたが、総括して福田像は高感度が良く、今後の国会運営の手腕が期待されています。 本国会の艱難とされる給油継続問題は国内の政争の具でなく日本の国際信用にかかっている問題であるから何らかの妥協点を話し合って国民総意の観点で見出して行くべきだろうとしていました。

最近のコメント