金融危機と鉄
1.今回の金融危機に際して
世界規模の金融危機で景気は直下型に悪化している。 その中で現状把握が一番難しい。 私は足元の状況はパニック状態に陥っていると思う。 悪化スピード大きくアメリカのビッグ3を代表する自動車販売は特に急激な落ち込みになっているが、私は半年ぐらいで終息すると思っている。 ただ、終息後もしばらくはこの状態は続くと見ている。 今回の原因は2002年以降の経済発展のスピードが根本原因で世界に光と影の面が出てしまった。 光は経済成長、影は地球の温暖化や資源の高騰、特に食料品の高騰で多くの貧困層を作ってしまった。 この負の部分の爆発は地球から発生された警戒信号だとし、このスピード化を正常に戻す努力をすべきであると思う。
私は過去の経験から今後しばらくは痛みを受けざるを得ないと覚悟をしている。
2.金融危機で明らかになったこと
日本の金融損失が少なかったこと、財務構造は欧米に比べてはるかに良かったことである。 今後の経済発展の中心はアジアにシフトした成長が3年後にはやってくると思う。 金融資本と産業資本は対立するものではないが,今回は金融資本が独走したマネー経済の欠陥であったと思う。
3.新日鉄の経営
業界再編が進む中で動かざること山の如しの姿勢であったが、成長路線強化も1つの選択肢である。 新日鉄は334社の連結であったが18社の減、現在は326社に統合した。
1985年240円/ドルから180円/ドルに急変した為替ルートの中で大合理化案を進め2006年までに人員削減率75%世界一の生産性を誇るまでに至った。
①直近の業績.経営環境の変化
鋼材需要の伸び、世界的業界再編
世界の鋼材需要は1973年から2003年までの30年間に年率1%1億トンの増加だった。 ところが、2003年以降3年間で中国、インドをはじめとする 発展途上国の需要で年率5~6%5億トンの増加を見た。更に今後の10年間で3億トンの増加が予想されている。
① 新日鉄の大合理化
2070年に生産量3万3千トン、従業員8万1千900人であったが2006年には生産量3万1千600トン従業員1万1千700人と合理化を促進させた。
つまり、生産性(粗鋼トン/人)を407トン/人から2,212トン/人まで改善したのである。 世界一の生産性を誇っている。
合理化とはコストダウンであり、企業存続のための必要条件でありそのための技術や教育を疎かにし今日の利益のために明日の利益を犠牲にしてはならない。
聖域無き合理化も言われるが、合理化には聖域は必要であると思う。
問題意識を従業員と共有して量的改善と質的改善は同時に進めるべきであると思う。
③アルセロール.ミッタルの誕生
1992年以降買収を繰り返し業界1位と2位の敵対的買収劇が6ヶ月の激闘を得て奇蹟の大合併が成立し1億1600万トン粗鋼生産量のアルセロール.ミッタルの誕生
となった。 今考えて疑問が残るのはその相手が新日鉄だったらどうだったろうか。企業価値を高めること、合併しないまでも協力し合う方策などで質的の変換を図って対処していくべきものと思っている。
④成長戦略
2兆円の借金を1,5兆円減らし財務体質の改革を進めてきた。次の2年間で成長路線に向かってこれからも投資を続けていく。今後は発展途上国にシフトしていけば、未だ経済成長は期待できると思っている。国内基盤をしっかりさせてグローバル企業に向けての脱皮を図っていきたいと思っている。
4.日本.日本企業の架台とその対応
世界は構造変化の真っ只中にある。人口の増加、食料不足の問題で自国のため輸出禁止政策を取り日本の製造業の特徴が生かせなくなる恐れがある。日本の世界での生き方は金融立国(英国)か資源立国(ブラジル)、ものづくり立国の3通りしかない。日本の将来はものづくりしかないのである。政府と市場との関係がどうなるのか、金融資本主義は反省し、弱める方向になってきている。そして経済成長はアジア中心に移る可能性が出てくる。
① 日本の強み
オバマ政権は変化であるが、日本の行き方は継続である。ゆっくり変化させ持続的変化を吸収し、時間をかけて継続させてきた。
世界の200年を超える老舗会社は7000社あるそうでその中に日本は3000社ドイツが1500社あるそうである。 世界の競争ランキングの順位が下がっているそうであるが未だ、日本は世界2位の経済大国であると思っている。
②日本の弱み
すり合わせに時間のかかる日本人の体質は情報のスピード化に対応しにくく不利である。改革をする必要がある。
5.日本がなすべきこと
いま、私は霞ヶ関、民間で作った創生委員会という言う会に所属して日本のあるべき姿を検討して①実体経済に立脚した姿。②地方との共生③農業改革④企業的仕組み⑤森林技術⑥空港の発着回数が今63万回を100万回に上げる必要を検討しそのあるべき姿を模索している。
質問に答えて
①
鉄鉱石原料の供給に関してのブラジル原石会社への投資についての質問に対して新日鉄としては3千200億円の投資になるが、現在は価格高止まり状態だし、マーケットメカニズムも働くので価格独占にはならない。
② CO2排出権取引導入についての質問に関して地球温暖化対策規制に参加しているのは日本とヨーロッパで僅か20%である。問題は発展途上国の排出量であるが、発展途上国では先進国が今まで汚染させてきた問題で今途上国に負担を迫ることは経済成長を止めろというに等しいと言う言い分である。
地球全体では阻止しなければならない使命で、 解決策としている排出権取引の導入には反対だ。排出削減技術の進歩や開発が根本であると思う。
③ 雇用問題について
農業改革等を通じての対策が考えられるが雇用問題は各社の問題で新日鉄としては先に75%ものリストラをやってきたので今回は手をつけない。
それ以上のことは何と言ってよいか解らない
企業人として立派な見識を持った人で感服した。


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